障害は欠落ではなく「異彩」である。ヘラルボニーが変えようとしている社会のまなざし

みなさんこんにちは、ラブカンのじんです。ラブカンは、日本全国のLOVED COMPANYを紹介するメディアです。
働き方にも、生き方にも、たった一つの正解はありません。会社ごとに、大切にしていることも、働く人の価値観も、それぞれ違います。
ラブカンでは、その会社ならではの文化や制度、働く人の想いなど「この会社、この人、なんだか好きだな」と感じた理由を、編集部の視点でお届けしていきます。
今回取り上げるのは、岩手県盛岡市に本社を構える福祉実験カンパニー、ヘラルボニーさんです。
ラブカン編集部が感じたLOVEDポイント
- 支援する/されるの関係を超えて、表現を社会に届ける仕組みをつくっている
- 正しさより先に、かっこいい・美しいを起点に社会課題に出会わせている
- 福祉を特別な場所に閉じず、日常の文化として広げている
見落としていた価値に出会い直す
「障害」という言葉を聞いたとき、私たちはどんなイメージを思い浮かべるでしょうか。支援が必要な人。助けるべき存在。社会が守るべき対象。もちろん、そこには大切な福祉の役割があります。でも、その見方だけでは、見落としてしまっているものがあるかもしれない。
岩手県発のブランド、ヘラルボニーは、主に知的障害のある作家のアートを、ファッション、雑貨、空間、企業とのコラボレーションなど、さまざまな形で社会に届けています。そこで扱われているのは、単なる障害者アートではありません。ヘラルボニーが掲げている言葉は、「異彩を、放て」。
障害は欠落ではなく、異なる彩りかもしれない。普通ではないことは、社会から取り除くものではなく、社会をもっと豊かにする可能性かもしれない。そう考えると、ヘラルボニーが届けているのは、商品だけではないように感じます。私たちが誰かを見るときの「まなざし」そのものを、少しずつ変えようとしているブランドなのではないでしょうか。
「異彩を、放て。」という言葉が変えるもの
ヘラルボニーは、「異彩を、放て。」をミッションに掲げています。
ここで注目すべきは、「障害」という言葉をただ別の言葉に置き換えているのではないところです。できないことや足りないことではなく、その人の中にある表現や感性に目を向ける。その見方を、ヘラルボニーは「異彩」という言葉で社会に差し出しているように感じます。
言葉が変わると、見る側の姿勢も少し変わる。支援の対象ではなく、「まだ知らない価値を持つ人」として出会い直す。ヘラルボニーのブランドづくりは、そこから始まっていると言えそうです。
福祉を“支援”ではなく、“価値”として社会に届ける
ヘラルボニーは、障害のある作家のアートを、アパレルや雑貨、インテリア、空間プロデュース、企業コラボレーションなどに展開しています。
福祉に関する商品は、ともすると「応援したいから買う」「社会貢献になるから選ぶ」という文脈で語られがちです。それ自体が悪いわけではありません。ただ、その関係性だけだと、助ける側と助けられる側の距離が残ってしまうこともあります。
ヘラルボニーの商品は、まず見た目としてかっこいい・オシャレです。色や線や構図に、思わず目が止まる。いいことだからではなく、「いいものだから」気になる。
価値ある表現として社会に届き、そこに対価が生まれるとき、関係性は少し変わります。福祉をビジネスにしているというより、福祉の中にあった価値を、ビジネスの力で社会に見える形にしている。ヘラルボニーの取り組みからは、そんな印象を受けます。
支援しているのではなく、支援されている
ヘラルボニーの考え方として、障害のある人たちを支援するのではなく、自分たちが「支援される」側である、という視点があります。
この言葉は、ヘラルボニーらしさをよく表しているように感じます。一般的には、福祉に関わる企業や団体は「支援する側」として見られやすいかもしれません。でも、ヘラルボニーは作家の表現があるからこそ成り立っている。作家たちの異彩があるからこそ、商品も、空間も、企業とのコラボレーションも生まれていると語っています。
そう考えると、価値を受け取っているのは、むしろ社会の側なのかもしれません。支援してあげるのではなく、その人の表現によって、こちらの世界が広げられているということ。
商品ではなく、まなざしを届けるブランド
ヘラルボニーが届けているものは、ハンカチやシャツやアート作品だけではないです。商品として美しい、その奥には、「障害のある人の表現を、私たちはどう見ているのか」という問いがあります。
知らないうちに、私たちは「障害者アートだからすごい」「福祉の商品だから応援したい」といったラベルを通して見てしまうこともあるかもしれません。ただ、ヘラルボニーはその一歩先で、「これは作品として美しい」「ブランドとしてかっこいい」と感じられる場をつくろうとしています。
社会のまなざしを変えるとは、誰かに正しさを押しつけることではない。気づいたら、見方が変わっている。その入口を、ヘラルボニーはデザインやブランドの力でつくっているのです。
読み終えて、もう一度。
ここまで読んで、最初に感じた3つのLOVEDをもう一度。
- 支援する/されるの関係を超えて、表現を社会に届ける仕組みをつくっている
- 正しさより先に、かっこいい・美しいを起点に社会課題に出会わせている
- 福祉を特別な場所に閉じず、日常の文化として広げている
ラブカンでは、今後も全国にあるLOVED COMPANYな会社や取り組みを紹介していきます。たくさんのLOVED COMPANYとの出会いが、あなたの価値観を少し広げ、自分のものさしで生きるきっかけのひとつになれば嬉しいです。
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