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株式会社ecommit

「誰かがやる」ではなく、「私たちがやる」ECOMMITが「捨てない社会」を仲間とつくる理由

「循環商社」ECOMMITが目指す「捨てない社会」というテーマを表す記事のトップビジュアル
文・陣脇康平(じん)

みなさんこんにちは、ラブカン編集長の陣脇です。ラブカンは、日本全国のLoved Companyを紹介するメディアです。

会社の思想や文化、働く人の想い、事業に込められた背景を通して、条件だけでは見つからない「愛される会社」を紹介していきます。

今回取り上げるのは、鹿児島で生まれた「循環商社」、株式会社ECOMMITです。

この会社のことを、誰かに。

ラブカン編集部が感じたLOVEDポイント

  1. 環境と経済を両立させ、「捨てない」を善意ではなく続くビジネスとして社会に実装している
  2. 創業者一人に使命を背負わせず、異なる強みや人生を持つ仲間が同じ未来を担っている
  3. 肩書きや職種の枠を越え、一人ひとりが未来をつくる主体として挑戦できる組織を目指している

「本当に世の中に役立つ環境ビジネスとは何か」

ECOMMITは2007年、鹿児島の小さな事務所から始まりました。

創業当初は、中古品を海外へ輸出する事業を展開。その後、家電スクラップのリサイクル事業にも取り組みます。転機となったのは、代表の川野輝之さんが中国を訪れたことでした。

そこでは、日本から輸出された大量の中古家電が、不適切な方法で解体され、環境汚染や健康被害につながっていました。自分たちは「環境にいいこと」をしているつもりだった。でも、その先では別の誰かや環境に負荷を押しつけていた。

川野さんはその現実を目の当たりにし、会社の利益を支えていた事業をやめます。そこから、環境と経済を両立させた適正な循環を追い求めるようになりました。

その原点にある問いは、「本当に世の中に役立つ環境ビジネスとは何か」です。正しいことを言うだけでは、社会は変わらない。続かなければ意味がない。

だからこそECOMMITは、環境問題を社会貢献活動としてではなく、ビジネスそのものとして解決する道を選びました。

捨てないを、善意にしない

ECOMMITが考えているのは、「もっとリサイクルしましょう」という呼びかけだけではありません。

そもそも今の社会には、ものをつくり、売り、届けるための仕組みに比べて、使い終わったものを次へつなぐ仕組みが圧倒的に足りない。だから、そのインフラ自体をつくろうとしています。

資源循環サービス「PASSTO」

象徴的なのが、資源循環サービス「PASSTO(パスト)」です。暮らしの身近な場所に回収拠点を設け、不要になった衣類や雑貨などを「捨てる」のではなく、次の人や未来へ渡す選択肢をつくる。回収されたものはECOMMITが選別し、リユースやリサイクルへつなげています。

現在は企業だけでなく、全国80以上の自治体・広域処理組合などとも取引や連携協定を結ぶほか、LINEに友だち登録するだけで、自宅から手軽に無料で不要品を手放すことができるサービス「宅配PASSTO」のユーザー数も5万人を突破し、循環の仕組みを各地域へ広げています。

手軽に不要品を手放せる「宅配PASSTO」

いつもの暮らしの中で、自然と「捨てない」を選べる状態をつくる。ECOMMITが目指しているのは、そんな社会の当たり前そのものを変える挑戦なのだと思います。

この使命を、一人に背負わせない

そして、ECOMMITの今を見ていると興味深いことがあります。代表の川野さんが18年以上抱えてきた使命を、今はさまざまな人が自分自身の使命として背負い始めていることです。

たとえば、上席執行役員CBOの山川咲さん。自然とともに生きる父親のもとで育ち、幼い頃から環境問題を身近に感じる一方、強い想いだけでは社会を変えられない現実も見てきたといいます。だからこそ、自分はビジネスの力で社会を変えたいと考えてきました。

そして川野さんと出会い、長年「捨てない社会」に挑み続ける姿を知ったとき、この使命を川野さん一人に背負わせてはいけないと感じ、ECOMMITへ参画しました。

現在の経営チームにも、ゼロ・ウェイストの地域づくり、ブランド、コンサルティング、テクノロジー、事業経営など、まったく異なる領域を歩いてきた人たちが集まっています。

執行役員の樋浦直樹さんは、ECOMMITについて、異なる強みを持つ人たちが同じ方向を向いていることに惹かれたと語っています。そして、自身の役割を「一人ひとりの強みが最大化される経営基盤」をつくることだと表現しています。

創業者の強い想いに、みんなが従う組織ではなく、一人ひとりが自分の人生や専門性を持ち寄り、同じ未来を違う方法で背負う。

そこに、ECOMMITらしいチームのあり方を感じます。

職種より、どんな未来をつくるか

その姿勢は、採用にも表れています。ECOMMITには、環境分野の専門家だけが集まっているわけではありません。IT、メーカー、コンサル、広告、物流など、さまざまな業界から転職してきた人が働いており、入社前は環境問題に詳しくなかったメンバーも少なくないといいます。

ECOMMITのメンバーが働く様子

採用サイトに書かれているのも、職種という枠を越えて、どんな未来を一緒につくれるかを話したいという考え方です。

さらに、経営陣と社員が参加するオープンイベントを毎月開き、転職や仕事の話だけではなく、お互いの「生き方」について語り合う場もつくっています。印象的だったのは、ECOMMITで13年以上働くメンバーの言葉でした。

入社当時、まだ小さかった東京拠点で、試行錯誤しながら衣類の選別方法をつくってきた。ECOMMITには、正解がなくても、まず挑戦する人を信じる文化があると振り返っています。

そして今、彼女が目指しているのは、現場で働く一人ひとりが主役であり、自分たちの仕事を「かっこいい」と思える組織です。

社会を変える壮大なビジョンがあっても、実際にものを回収し、一着ずつ価値を見極め、次へつないでいるのは現場の人たちです。

だからこそ、トップだけが未来を語るのではなく、働く一人ひとりがその未来の当事者になる。ECOMMITが大切にしている「人」は、そんな存在なのかもしれません。

循環させているのは、ものだけではない

2026年、ECOMMITは創業以来初となる未来ビジョン発表会「VISION+ING」を開催しました。集まったのは、アパレル、百貨店、デベロッパー、自治体など、業界を越えた200人以上。

未来ビジョン発表会「VISION+ING」の様子

そこで語られたのは、一社だけで成功する未来ではありません。目指しているのは「一社の成功ではなく、垣根を越えた業界のゲームチェンジ」だと掲げています。

ECOMMITが循環させようとしているのは、ものだけではありません。人の経験や専門性もつなぎ合わせながら、一人では実現できない未来をつくる。「誰かがやってくれる」ではなく、「私たちがやる」。

その言葉を、事業だけでなく組織のあり方でも実践しているところに、ECOMMITという会社のLovedを感じました。

読み終えて、もう一度。

ここまで読んで、最初に感じた3つのLOVEDをもう一度。

  1. 環境と経済を両立させ、「捨てない」を善意ではなく続くビジネスとして社会に実装している
  2. 創業者一人に使命を背負わせず、異なる強みや人生を持つ仲間が同じ未来を担っている
  3. 肩書きや職種の枠を越え、一人ひとりが未来をつくる主体として挑戦できる組織を目指している

ラブカンでは、日本全国にある「愛される会社」やLovedな取り組みを紹介していきます。たくさんのLoved Companyとの出会いが、あなたの価値観を少し広げ、自分のものさしで生きるきっかけのひとつになれば嬉しいです。

「この会社、面白い」

「この働き方、もっと知られてほしい」

「うちの会社にも導入したい!」

そんな事例があれば、ぜひ教えてください。

参照サイト

この会社のことを、誰かに。