老舗メーカーが体現する、人を主役にしたものづくりと組織づくり
みなさんこんにちは、ラブカン編集長の陣脇です。ラブカンは、日本全国のLOVED COMPANYを紹介するメディアです。
会社の思想や文化、働く人の想い、事業に込められた背景を通して、条件だけでは見つからない「愛される会社」を紹介していきます。
今回取り上げるのは、大阪府大阪市に本社を構える平安伸銅工業株式会社です。(画像提供:平安伸銅工業)
ラブカン編集部が感じたLOVEDポイント
- 暮らし方の正解を提案するのではなく、自分で変えられる選択肢を手渡している
- 私らしい暮らしを届ける会社だからこそ、働くメンバーの私らしさも大切にしている
- ビジョンを完成した答えではなく、分からなさを残したまま、みんなで輪郭を描き続けている
暮らしの主役になろうとしない
平安伸銅工業と聞いて、真っ先に「突っ張り棒」を思い浮かべる人は多いかもしれません。突っ張り棒は、住まいを傷つけず、その時々の生活に合わせて部屋の使い方を変えられる道具です。
けれど、同社が目指しているのは、便利な収納用品を増やすことだけではありません。
掲げているビジョンは、「アイデアと技術で『私らしい暮らし』を世界へ」。既存の空間に少し手を加え、自分たちの手で暮らしを変えていく行為を「暮らすがえ」と名づけています。
突っ張り棒は、部屋の主役として目立つ道具ではありません。しかし、暮らす人のアイデア次第で、収納にも、間仕切りにも、飾るための場所にもなります。平安伸銅工業が届けているのは、決められた使い方や完成形ではなく、暮らす人が自分に合う空間をつくるための余白なのだと思います。
完成した暮らしを届けるためではなく、暮らしをつくる主導権を、お客様に委ねる。
暮らしを変える会社でありながら、一人ひとりの暮らしをそっと支える側に立つ姿勢が、平安伸銅工業らしさを表しているなあと感じました。
商品だけでなく、会社の中にも「私らしさ」をつくる
平安伸銅工業は、働くメンバーにも「私らしい暮らし」の実践を求めています。全員が画一的に働くことを目指さず、業務のミッションと生活を両立できるよう、フレックス勤務やハイブリッド勤務などを取り入れています。
ユーザーには自由な暮らしを提案しながら、社員には一つの働き方を求める。その矛盾を残さず、外へ向けた思想と、内側の組織づくりをつなげようとしています。
人事制度でも、「個人の強みを生かす」「短期業績ではなく未来志向」「自律した個人・組織」を重視しています。社員を理念の実行者としてだけではなく、理念を最初に体験する一人として見ているのではないかと感じます。
自分らしい暮らしや働き方を知らないままでは、誰かの私らしさを想像することも難しい。メンバー自身が、自分の生活を整え、自分なりの豊かさを見つけることが、商品やサービスにも返っていく。会社の中と外で、同じことを大切にしている。その一貫性に惹かれます。
「私らしい」の答えを、会社が決めない
では、平安伸銅工業が掲げる「私らしい暮らし」とは、具体的にどのような状態なのでしょうか。実は、その答えは明確に定められてはいません。
家族との時間を大切にしたい人もいれば、仕事に集中したい時期にいる人もいる。年齢や生活環境が変われば、自分にとって心地よい働き方も変わっていきます。
だからこそ、会社が「これが私らしい暮らしです」と完成した答えを渡すのではなく、一人ひとりが自分なりの答えを探せる環境をつくる。ここにも、商品づくりと同じ姿勢が表れています。
平安伸銅工業にとってビジョンは、全員を同じ方向へ揃えるための正解ではなく、迷ったときに自分たちが大切にしたいことへ戻るための言葉なのだと思います。「私らしい」が簡単に分からないからこそ、問い続ける意味があるのではないかと。
守ってきたのは、突っ張り棒ではなかった
平安伸銅工業は、長い歴史の中で、変化を繰り返してきました。
受け継いできたのは、突っ張り棒という完成された商品ではなく、アイデアと技術によって、目の前の暮らしを少し豊かにする姿勢だったのではないでしょうか。
「暮らすがえ」という言葉を掲げているように、会社もまた、時代に合わせて自分たちの役割を変え続けています。その柔らかさが、老舗でありながら、今の暮らしに寄り添い続けられる理由なのだと思います。
読み終えて、もう一度。
ここまで読んで、最初に感じた3つのLOVEDをもう一度。
- 暮らし方の正解を提案するのではなく、自分で変えられる選択肢を手渡している
- 私らしい暮らしを届ける会社だからこそ、働くメンバーの私らしさも大切にしている
- ビジョンを完成した答えではなく、分からなさを残したまま、みんなで輪郭を描き続けている
ラブカンでは、日本全国にある「愛される会社」やLOVEDな取り組みを紹介していきます。たくさんのLOVED COMPANYとの出会いが、あなたの価値観を少し広げ、自分のものさしで生きるきっかけのひとつになれば嬉しいです。
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